【審査講評】 |
毎年この審査会に参加していますが、今回の応募数が過去一番多くなったことを嬉しく思いました。このコンクールの趣旨からして、誠に好ましいことです。児童・生徒だけでなく、大学生や一般の大人の方々の応募が増えていることもありがたいことです。 さらに、今回の特徴として、作品のレベルが向上していることがあります。小学生から大人まで、去年までと比べて表現力が向上しています。新しい着眼点で創造的に表現している作品も目立ちました。全体として、質的に向上して、より表現の幅も広くなった印象です。今回は入賞しませんでしたが、写真を4コマにして表現している作品や応募の紙媒体を使わずPCで処理・表現した作品もありました。 具体的に入賞作品についてコメントします。 小学生の部の2作品は、どちらも人物の描写力が優れ、色彩も効果的に使われています。テーマは、どちらも限られた資源を大切するというモラルの向上を狙ったもので、今までにあまりなかったものです。小学生がこのようなテーマに着目することは、発想力の広がりを感じます。 中学生の部の2作品は、どちらも甲乙つけがたく両方を最優秀としました。2作品とも表現力に優れていますが、特に人物表現が個性的かつ美的です。その上「3Rを心がけよう」は、ふきだしに特徴があり、文字も読みやすいし美しくまとめられています。「大事なもの」は、シンプルで言葉はないけれども、最後に見る者をほっこりさせるストーリーになっています。 高校・大学生の部の3作品は、新しい視点で表現していたことを評価して3点を入賞としました。「正しいごみ捨て」と「誰のための優先席?」の2点は、表現はとてもシンプルですが、訴えかける力強さを感じます。「傘の持ち方」は今までにないテーマに着目してうまくまとめています。 一般の部の2作品は、どちらも強烈な個性的表現で秀逸ですし、内容・ストーリーともに極めて優秀です。一般社会のまんが作品(商品)として通用するレベルと言ってもいいでしょう。 小中学生が一人1台タブレットを持つ時代になって、美術の学びや表現が変わりつつあると感じます。このコンクールは一般的なコンクールよりも規制が少なく、時代の先端的な表現が目立ちます。表現材料のツールとして、ペンやマーカーだけでなく、もはやPCの時代になってきています。これからも、発想を豊かにして、ツールを自由に扱って、新鮮でユニークな作品が応募されることを期待しています。(審査員長:其田建一郎) |
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